音声ファイル公開;⑰神経パルス通電の基本、顔面神経への通電方法
鍼通電療法とは、どういうものなのか?
今回は、神経パルス通電の基本、顔面神経への通電方法について、
初心者の方に向けて、基本的なことをお話ししています。
☆顔面神経麻痺に顔面神経パルスを行うについては、
病期・後遺症など十分に理解を深めた上で、適切に行われますようご留意下さい。
参考資料
末梢性顔面神経麻痺に対する鍼治療 粕谷大智他
全日本鍼灸学会雑誌 2002 年 52 巻 1 号 p. 32-42
鍼灸の低周波治療について
末梢性顔面神経麻痺専門サイトより
☆神経パルスは、末梢神経の異常が病態の基礎となっている場合に、
当該神経が正常化されることを期待して行うものです。
患者の訴えが「シビレ」「鈍い感じ」といった表現であっても、
神経学的な異常所見がなければ、決して採用する方法ではありません。
また、大切な部分ですが、神経パルスでの刺鍼は
「神経に当てるものではありません。」
あくまでも、神経の近傍に鍼尖を運び「電気刺激をすることが目的です。」
社会福祉法人 日本点字図書館様作成の
2000年8月のテープ雑誌 新医学より一部抜粋したものです。
技術面では、さらに発展させておりますが、
基本的な身体の診方については、
変わらない基礎と考えます。
☆音声ファイル上では、「筑波大式低周波鍼通電療法」と表現しておりますが、
現在では、「鍼通電療法」と表現を統一しております。
皆さまのお役に立ちますように。
ディスカッション
コメント一覧
はじめまして。大阪で鍼灸師をしてます。西村と申します。
昨日、初めてこの鍼通電のページをみつけました。すごい勉強になります。ヘルペス後の肋間神経痛へ有効な神経パルス等ありますか?
キーワード
VZV PHN Sunderland神経損傷分類 Seddon神経損傷分類
コメント有り難うございます。
ご質問の「ヘルペス後の肋間神経痛へ有効な神経パルス等ありますか?」につきまして、以下に私見を述べさせて頂きます。
Ⅰ. 学術的な視点から
①ご存じと思いますが、発症初期であれば、まず抗ウイルス薬での治療が最優先されます。後遺症への影響にも関連します。
②鍼治療・鍼通電療法は、可逆的な病態の回復を援助するものと考えます。
③対象とされているPHNがどの程度経過しているかにより考え方が異なります。
④ウイルス感染により生化学的にダメージを受けた神経が、修復可能な時期であるか否かです。
⑤Sunderland神経損傷分類によれば軽度の損傷であれば回復が可能です。
⑥軸索が損傷した場合1mm/日で再生が行われます。再生開始時期が遅れると(初めの遅れ)完全に再生できません。
⑦痛みの原因分類の侵害受容性疼痛レベルであれば鍼治療・鍼通電療法が効果を上げられる可能性があります。
しかし、神経障害性疼痛となると可能性は低くなります。
⑧鍼通電に係わらず、電気刺激による末梢神経の再生促進効果に関する見解は多岐になっており、EBM的には胸を張れませんが、経験値・文献的には有効性はあると思います。
Ⅱ. 実際的な考え
①まず、急性期でないこと。
②神経への鍼通電は神経に電気刺激を届ける道具として鍼を用いる手技です。決して神経に刺鍼して通電するものではありません。
③肋間神経への鍼通電は可能ですが、気胸のリスクを考えるとTENSのような表面電極が良いかと考えます。(水疱などある場合は、衛生行為に充分注意が必要です)
④ゲートコントロールの考えに基づき、同一のデルマトームで通電を行います。
ゲートコントロールに基づくと刺激を中止すると鎮痛効果も消失してしまうことになりますが、うまくいけば効果は持続します。
⑤刺激の強さと頻度は、受ける方の心地よさを優先します。
患者さんに良い事がありますように。